Serge de Nimes =COLLECTION / 小 物 =

CUSHMANのスウェット


 

 このしっかりしたスウェットは京都のNOISEで見つけたものです.CUSHMANとは岐阜のメーカーで宣伝は一切してないのであまりメジャーじゃないけど,すごく丁寧に作ってあります.しっかりするとまぁ垢抜けないので,そこの兼ね合いがむづかしいんだけど.これは全く垢抜けてはいないです.

 全体的にすごく生地が分厚い.これは糸を起毛させてから織るために,すごく起毛分が多いからです.また織るときに吊り機で織っているため,織り自体もしっかりするそうです.吊り機というのはウエアハウスも使っていて,らせん状に一周ずつ織るので,非効率的ながらも,風合いよく,しっかりと(あくまでしっかり)と織れるそうです.また先起毛だと洗濯でちぢまないという特色があります.

 これはフリーダムスリーブの両V.フリーダムだとセットインほどかっちりせず,なおかつ肩が下がった感じにならないので,すごく着やすい.(この写真はフリーダムだということわかるように実際より暗めに撮りました)

 もちろん首周りもしっかり.首周りリブの中に身ごろが縫込まれていて,それが真中という微妙なところまでなんです.やがて縫込みのない上半分が洗いこんでいくにつれ立ち上がるという具合で,ビンテージっぽくなるはず.(ちなみにこの部分APEのスウェットはすかすか,でもかっこよさは全然違うけど)

 2回洗濯した現在,すそのリブはかなり緩んできてよかった.さいしょはキツキツで背中がふくらんでしまってた.これがどこまで伸びちゃうかが問題ね.いいところで止まってほしい.ウエアハウスと45RPM(これはそもそもしかたないか)のスウェットは緩々になってしまう.冬だから寒いですよね.

CUSHMANについて■

 設立者はMONOマガジンへのサンプル提供をバンバンしてる人で,つまりすごくたくさん本物をもっているらしんです.そんで,その集めたのもCUSHMANを立ち上げるため,というのだそう.研究熱心.ホームページもあるので見てください.商品の写真も出てます.

 スウェット以外にも“C-MAN”というブランドでジーンズを作っています.これはわたしはまだ見たことがないんだけど,期待できる.カタログも全然垢抜けていなくて,なんかよさそうでしょう.

 東京での取扱店をメールで問い合わせたんだけど,どうも教えてくれなかった.いったい?でもインターネットで通販可能なので興味のある人は見てください.

■スウェットの織りについて■

 カタログの見開きに唐突な感じでスウェットの生地の織り方について熱く語ってあるので,わたしはこれを思い切って転載します.文章は朴訥ですがえらい情報量があります.

 「吊り機とは高級肌着を編むための機械なので糸に無理なテンションがかからないような調節が可能で,ゆるくしっかり編むことができます.

 しかし機械が生まれたのは大正時代なので,現在日本に約200台しかなく,おまけに専用針が生産中止で,ドイツから取り寄せている状況です.また,この機械を操作できる人は日本に56人という実に面倒な機械なのです.

 生産数は,筒状の生地を編んでいくため一日12時間かけても10メートルのみで,ほんの数名分しか編み上げることができません.でも,こうしてゆっくりと,おおらかに編まれた分,時間と空気を吸って,柔らかいけど丈夫な,絶妙な肉厚と風合いの生地が生まれるのです.

 普通,起毛は生地を染めてから行う「後起毛」が一般的ですが,布の縮みの問題や毛玉になりやすいという欠点があるため,CUSHMANは染める前に起毛させる「先起毛」を採用しています.起毛方法としては,筒状の生地を少しづつ回転させながら均等に引っ掻くのですがこれは機械のローラーの回転数や,生地を掻く針の角度など,まさに職人の腕と経験が問われる世界です.

 洗えば洗うほどに体に馴染みつつ,いつまでもソフトな風合いをキープするCUSHMANのスウェットはこうして生まれるのです.

 ちなみに起毛面を,私の手持ちのスウェットと画像を比較します.下の写真の左側がCUSHMANです.なんとなく毛布のような柔らかさが出てるでしょう.

     CUSHMAN              ふつうの後起毛のもの

 と,多分このCUSHMANの看板商品はスウェットだなとわかる熱の入れようですね.でも誠実な感じが出てて,わたしは好感度大.じっさいのわたしのスウェットも,そうとうふわふわです.気持ちいいよ.当分破れなさそう.

LastUpDated 00/01/18 02:50


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