Serge de Nimes =Report=

岡山ジーンズ工場を巡る旅


その1

 わたしは2月14日から18日まで,デニムワークスの福田さんと一緒に岡山のジーンズのふるさとを訪ねる旅に行きました.

 岡山県にはジーンズ関連の工場が集まっています.ジーンズ工場と一口で言っても,織物工場や縫製工場,ボタン屋さん,糸屋さんとあって,それぞれ分業が進んでいます.なかにはボタン付けだけとかの小さな工場というか家内制手工業もあるそうです.

 今回は福田さんのつてで一通りまわりました.そして食べた!!有意義.

この旅行記は固有名詞はのせられないの.そういう約束で連れてってもらったので. 写真もないです.ごめんね.

■2月14日

22:00発の寝台列車「サンライズ出雲」号ののびのび座席で東京駅出発.たしかに2等船室のようなかんじ.

■2月15日

06:44に倉敷着.岡山は温暖だとなめてかかってたのに,いきなりの寒波.

●織物工場

 割と中堅どころの織物工場に行く.ここでは社長が応対してくれました.メーカーの細かなニーズに対応した生地を織るというのがここのうりらしい.(我々の中では)有名ブランドがオーダーしたシャツの生地サンプルを見せてもらう.さすがに肌触りがよい.値段は少し高くても,肌触りのいいシャツはいいよね.

 福田さんは自分が気に入ってる色落ちのジーンズを見せて,「これに近い生地ありませんか?」ときいていました.すると社長は「私が考える501XXの生地を作ったの,最近」といい,サンプルを持ってきてくれました.みるとかなり繊細なたて落ちをすると思われるデニム生地でした.わたしはいろんなレプリカの中でもマッコイ905の色落ちが大好きなんです.905はかなり青っぽくって,繊細なたて落ちをします.福田さんいわくその生地は905よりも繊細なたて落ちらしいです.福田さんは次回作としてそれを1反ゲットし,試作品を作るそうです.たのしみ.

 工場を見せてもらう.シャトル織機のあまりの音の大きさにあっけにとられました.あそこで1日働くのはたいへんでしょう.縦糸を織機にかける作業の細かさにもびっくり.1800本を一本ずつ機械にかけてました.いやはや,なんともこまかいし,音がおおきいし.わたしたちのデニムってこんなにして作られるのねと感慨を新たにしました.たぶんあの織られた生地の中で寿命をまっとう出来るのはほんのわずかでしょう.私のうちにだって買ってはかないジーンズがごろごろしてるし.でも作ってくれる人は本気なんだなと思いました.

●縫製工場

 さて続いて縫製工場.これがほんとに小さい.というより普通の家を大きくした感じ.応接で社長,専務さんと福田さんが景気の話なんかをしてるけど,私はBBSでおこっている大騒動で胸がいっぱい.どうして出発前にバイオC1を買わなかったんだ??"TINY AIBO"だってついてたのに(まじかわいい.わたしの心をわしづかみでゲット)!という後悔が胸をよぎる.やっぱモバイルぐらいしよう.

 工場の中をみせてもらいました.いろんなミシンがあって,デニムワークスを大きくした感じ.それぞれがパーツ同士を縫い合わせているんだけど,そこでも分業制が進んでて,袖縫ってる人はずっと袖を縫ってました.なかでも巻き縫いを専門にやってるおばさんがいて,それはかなりの年季が入っていました.職人やね.あとはジーンズをひっくりがえす機械があって楽しかった.

●織物工場

 デニム専門の織物工場に行く.前の工場と基本的には同じだけど,糸が切れて交換してる人がいて,その作業の細かさに呆然.もちろん音が大きい中で.

●パターン屋さん

 普通の家.女の人が3人で机に向かってました.どうもデザイン画が送られてくると,それを見ただけで試し縫いとかなくていきなりパターンを引いちゃうらしい.でも他のものに比べると,レプリカジーンズは同じようなものをちょっと変えただけでなんども発注が着たから,よかったらしい.わたしが行ったときには有名女性向けブランドのねじったようなスカートを,試し縫いなくパターン引いてた.ほんとすごい. みなさんキャリア20年以上のプロでした.

KAPITAL

 お店に行きました.そういえば10万円のジーンズが置いてあったような気がしましたが,よく見るのを忘れてしまいました.基本的に古着やさんで,横にちょっとヒステリック・グラマーが置いてあるかんじ.ウエスタン風の小屋で楽しいお店です.

■2月16日

ホテルは全室オーシャンビュー.お風呂から瀬戸内海がみえたよ.

●ボタンやさん

 ボタンの卸売りをしてる商社に行きました.しかしそこの営業マンは自分でボタンを考えて作るらしい.今回も竹のボタンをつくってました.あといま流行のカバーオールのボタンをワールド・フォト・プレス「DENIM」という本の写真を参考に試行錯誤して作ってたよ.「写真と感じが違うんだよ」とか言いながら.こういう人がマニアックな世界を支えてるのかとしみじみする.

●糸屋さん

 糸の専門の商社.糸ばかりが並ぶ姿は圧巻.デニムに近い色といってもいろいろあるしね.ここが1日何回か工場に配達して回ってるらしいです.便利だ.

●金属ボタンメーカー

 最近まで外資だったこともあり,おしゃれな建物.そこにおしゃれなディスプレイでリベットやボタンがずらーーーっとならんでました.けっこう異色.そのディスプレイにはみたことのあるボタンが特注品の見本として飾ってあった.でもいろんな種類はあるけど,実際にバンバン売れているのは数種類であろうと思うよ.

●ミシン屋さん

 新品も売ってるけど中古も手直しして売ってるところ.その手直しぶりがすごい.機械をメンテナンスするために部品のストックを山ほどかかえ,ばっちりオーバーホール.さらにそのミシンに使いやすいような「台」を溶接までして作ってました.とにかく鍛冶屋のよう.そうとう職人.デニムワークスにあるかっこいいミシンは全部ここで買ったらしい.わたしは以前から台が気に入ってたので,「わたしにPCデスク作って!」って思った.

 そこのオリジナルミシンもあって,それが手縫い風ミシンなの.かわいい.ほんとにぽつぽつした感じに縫えるんだよね.わたしはここで先が3センチぐらいあるハンダゴテを見ました.そのときに「こんな特殊なハンダゴテを作ってる人もいるんだなぁ」と思いをはせちゃったよ.もう会う人会う人すごくマニアック.

●洗い屋さん

 ジーンズを洗い加工しているところに行きました.直径3メートルぐらいのドラム式の洗濯機の大きいバージョンがあってそこに大量のジーンズが投げ込まれ,案外あっさり洗ってました.石があって,ストーンウォッシュではそれを一緒に入れて洗うそう.また高さ4メートルはある巨大な乾燥機があって,これまたあっさり乾燥してました.

LastUpDated 00/02/23 20:54


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